農業を仕事にしたい人へ! サラリーマン就農のススメ

農業
Tractor cultivating field at spring

こんにちは!秋富です。
みなさんは農業に興味はありますか?

農業を仕事にしたいけど、いきなり独立して農業経営を始めるのはハードルが高いなあ

そんな人のために、サラリーマン就農という方法をご紹介したいと思います。

私自身、北海道でサラリーマン就農をして農業にチャレンジしています。

この記事では、サラリーマン就農とは何か、メリットやデメリット、求人を探し方について見ていきます。

なお、あくまで私個人の経験が元になっていますので、農業の種類(水稲、野菜、酪農、畜産など)や栽培している作物の種類などによっては当てはまらない場合があります。

「こんなのもあるんだ」くらいの気持ちで読んでいただけると幸いです。

サラリーマン就農とは

サラリーマン就農とは、「企業に雇用されて農業をすること」です。

一般的には「雇用就農」や「職業就農」と言われますが、このブログではより分かりやすくサラリーマン就農と呼んでいます。

普通「農業を始める」と言うと、独立して農業経営をするイメージがあると思います。そうではなくて農業法人などの企業に就職し、社員として組織の中で農業をする働き方のことです。

この働き方自体、まだ一般的にはあまり知られていないと思います。

しかし、実際にはこのサラリーマン就農で農業に携わる人は増えてきています。

(図1)新規就農者数の推移(農林水産省『新規就農者調査』より作成)
※Uターン就農とは、実家が農家の人が親元で農業をすること。
※Iターン就農とは、非農家出身の人が自分で土地や資金を調達し、新たに農業経営を開始すること。

図1は、ここ10年の新規就農者数の推移です。

少ないながらも、その数は増加しています。

直近の2022年を見ると、10年前と比べて約3,000人も増えています。

(図2)就農形態別の年齢割合(2022年)(農林水産省『新規就農者調査』より作成)

さらに図2を見てみると、サラリーマン就農した人のうち、49歳以下の割合は73%となっていて、Uターン就農の3倍以上です。

このことから、サラリーマン就農が、Iターン就農とともに若い人の農業に携わる選択肢となっていることが分かります。

サラリーマン就農のメリット

サラリーマン就農のメリットは、大きく3つあります。
順番に見ていきましょう。

【1】収入が安定する

【2】休みが取りやすい

【3】働きながら知識やスキルを身に着けることができる

独立して農業を始める場合、売上から経費等を引いた収益が自分のものになります。農業経験が未熟で、販売できるクオリティのものができなかったり、天候不順などで作物が育たない等、収入が得られないリスクもあります。

一方、サラリーマン就農では、一般企業と同じように毎月決まった給料が支払われる場合が多いので、安定して収入を得ることができます。

私の勤める会社は北海道でダイコンを作っています。ダイコンが収穫できるのは7月から10月まで(それ以降は寒くて育ちません)。つまり冬場になると会社としての収入はほとんどありません。しかし社員にはきちんと給料が支払われます。

会社によっては、ビニールハウスなどを活用して作物を一年中栽培したり、加工品などを作ったり、農業以外の仕事をしたりして、周年で収益を得るための工夫をしているところもあります。

農業は基本的に天候に左右されますので、決まった休みが取りにくいと言われています。

ある時期までにやるべき農作業が決まっているなかで、悪天候が続くと作業が遅れてしまうのでその分休みを返上して作業をする場合があります。また、作物を収穫する時期など繁忙期があり、その時期は休みが取れないこともあります。

サラリーマン就農も同じように天候に左右されますが、休日が就業規則等で規定されていることが多いです。私の会社の場合、夏場は日曜と祝日が、冬場は土曜日・日曜日・祝日が休日と定められています。年次休暇もありますので、事前に申請しておけば平日でも休みを取ることができます。

もちろん夏場の繁忙期はなかなか年休は取りにくいですし、雨の影響等で休日出勤になることもあります。

企業によって休日の規定や休みの取りやすさなどは変わってきます。求人情報や面接の時に詳しく確認するようにしましょう。

トラクターの運転や農薬を散布する作業は、一人前にできるようになるまで一定の経験が必要です。独立経営する場合は、就農する前に農業学校や先輩農家さんの元で研修して経験を積む場合が多いようです。

サラリーマン就農では、入社後先輩に教えてもらいながら知識やスキルを身につけていくことができます。

私の場合、トラクターの運転は全くの未経験(マニュアルの運転免許すら持っていなかった)でしたが、先輩が実際に操作するのを見せてくれたり、作業機ごとに注意するポイントなどを教えてもらったりして、少しずつできる作業が増えてきました。

このように、段階を踏みながら徐々に知識やスキルを高められるのが、サラリーマン就農の良いところだと思います。

サラリーマン就農のデメリット

これまでメリットを見てきましたが、サラリーマン就農にもデメリットは存在します。

【1】自分のやりたい農業ができないこともある

【2】農作業以外の仕事も多い

【3】儲かっても給料が増えるとは限らない

それぞれのデメリットについて、対応策とあわせて詳しく見ていきましょう。

あくまでも企業に雇われている身分ですので、経営方針や栽培作物、規模、販売方法などは企業の意思に従う場面が多くなると思われます。

会社によって、意見の言いやすさや裁量権の大きさは異なるでしょうが、入社していきなり自分がやりたいと思う農業をやらせてくれる会社はあまりないでしょう。

ですので、やりたい農業のイメージが固まっている人は、その会社の事業内容等をしっかり確認しましょう。そしてその会社で本当に自分のやりたいことができるのかを考えてみることで、入社後のギャップをできるだけ少なくしておくことが重要です。

すべての会社ではないでしょうが、農作業以外の仕事も意外と多いです。

私の会社の場合、倉庫の整理や農作業機のメンテナンス、備品の管理、パート社員のシフト調整など、トラクターの運転や収穫作業など「ザ・農作業」のような仕事以外にも色々な業務が発生します。

次年度の作付計画や資材の発注、伝票の作成といった事務仕事もありますし、会社によっては、農作業の担当者と、営業や販売の担当者が明確に分かれている場合もあります。また、定期的にジョブローテーションが行われ、担当業務が変わることもよくあります。

ずっと現場で農業をしたいと思っている人は、その会社が、社員をどのようにキャリアアップさせていこうと考えているのかについて、しっかりと確認しておくことが大切です。実際にどのような業務があり、どの業務に就く可能性があるのかも確認しておきましょう。

メリット【1】「収入が安定する」の裏返しになりますが、もし会社が大きな利益を出しても、それが社員の給与に反映されるとは限りません。

会社によって、どうすれば昇給するのか決まりを設けている場合があります。

作業が増えてきたり、責任の重い仕事を任せられることで給与が増える等、できる仕事の範囲や役割の大きさと給与が連動している会社もあります。

反対に、経営層以外の社員は、新人でもベテランでも給与はみんな一律、という会社もあるようです。

入社前に、その会社の給与体系については必ず確認しておくようにしましょう。

お金の話はなかなか面接で聞きにくいかもしれませんが、お金なしでは生活できません。お金のことを聞いたのが理由で不採用にするような会社は行っても不幸になるだけだと思いますので、ここはしっかり聞いておくべきです。

求人の探し方

ここまでサラリーマン就農のメリットとデメリットを見てきました。

最後に、実際にサラリーマン就農をするために必要な求人の探し方について紹介します。

個人的に最も効率的な方法は、農業に特化した求人サイトを活用することだと思います。

マイナビやリクナビなど、大手サイトにも農業関係の求人が載っていることもありますが、やはり農業専用求人サイトは求人数が圧倒的に多いです。サイトによっては担当者が転職エージェントのように企業との仲立ちや様々なフォローアップをしてくれるものもあります。

農業の種類(稲作、畑作、酪農など)や業務内容(生産、営業、企画など)といった、細かい項目を指定して検索できるサイトがおすすめです。

また自治体によっては、行政や農業協同組合が求人サイトを運営している場合もあります。すでに暮らしたい地域が決まっている場合、このようなサイトを活用するのも便利です。

そして、ハローワークにも農業の求人が多数載っています。

「ハローワーク インターネットサービス」でメールアドレスや求職情報を登録してマイページを開設しましょう。そうすれば実際に窓口に行かなくても求人の検索ができます。

就職を希望する都道府県や職種、雇用形態、賃金など、詳細な設定が可能です。操作方法にややクセがありますが慣れるととても便利です。

※この記事とは別に、求人サイトの細かい比較や私がおすすめするサイトの紹介記事を書く予定です。

最後に

ここまでサラリーマン就農について紹介してきました。

農業に携わるための一つの選択肢として、イメージを強めてもらえればうれしいです。

際にサラリーマン就農をしている身から言うと、やはり安定して給与を得られるというのが一番のメリットかなと思います。

サラリーマン就農にもメリット・デメリットがありますので、ご自身の農業への思いや様々な環境なども踏まえて考えてみてください。

ありがとうございました!

この記事を書いた人
秋富 敬

農協の全国組織で十年ほど勤めた後、北海道の農業生産法人に転職。
日々、農業やそこで働く人々の人材育成等について考えています。
国家資格キャリアコンサルタント。
社会人のスキルアップのための勉強や、教養を得るための講座受講など、様々な形で学ぶことが好きです。
読書も好きで小説や民俗学、歴史の本をよく読みます。
農業や人材育成、読書のことなど、誰かの役に立つ情報を発信していきます。

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