本を紹介する記事『農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』

読書

こんにちは!秋富です。

このブログでは、私が実際に読んでみて役に立つと思った本について、その内容とどんな知識が得られるのか、そして学びを深めるための行動などを紹介していきます。

今回は、『農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』を取り上げます!

本の内容

本書は技術評論社の「図解即戦力シリーズ」の一つで、著者は窪田新之助氏と山口亮子氏の二人。両名とも農業関係の本や記事を書いています。二人の共著で書かれた『誰が農業を殺すのか』(新潮文庫)という本もあります。

まずは内容をざっくり紹介します。

本書では、農業に関係する基礎知識や最新動向などのトピックが取り上げられています。
トピックは大きく10のチャプター(章)に分かれています。
各章のタイトルは以下のとおりです。※()内は秋富による補足

  1. 日本の農業はどこに行くのか(現在の日本農業で起こっている新しい動きを紹介)
  2. 日本の農業を知るための基礎知識(日本農業の課題をデータにもとづいて検証)
  3. 主要作物の生産・消費・流通の最新動向
  4. 生産性向上の鍵を握る資材とその業界の動き(肥料、農薬、種苗、農機メーカーの動きや新技術の紹介)
  5. 変革する農業経営(大規模化、法人化など近年の経営面の動き)
  6. 国の食糧戦略を示す農政(既存の制度や法整備の課題点などを指摘)
  7. 流通の変化と展望(BtoCや市場外取引など、新しい流通の動きを紹介)
  8. 農業と環境(気候変動や病害虫の発生など農業の現場で起きる環境要因を説明)
  9. スマート農業の可能性と課題
  10. 世界における日本農業の戦略(輸出戦略や苗流出対策など国際的な施策)
『誰が農業を殺すのか』(新潮新書)より

タイトル名を見てみると、農業やそれに関連する業界、国の動き、世界との関係など、農業に関するテーマをかなり広範囲に取り上げています。また、発行(2020年)時点での最新動向もたくさん盛り込まれています。

本書の構成として、見開き1ページで一つのトピックが取り上げられており、図表が多くて分かりやすいです。

現役の農家や農業関係者だけでなく、これから農業や関係する仕事に就きたいと思っている人にもおすすめの本です。

最初から読んでいくのも良いですし、自分の興味のある分野から読んでいくのも良いでしょう。

本書から得られること

これまで紹介したように、本書は農業という業界に関する基礎的な情報から最新動向まで、網羅的に知識を得られることが一番の特徴と言えます。

基礎的な情報の例としては、日本の農業総産出額の推移、コメの生産状況や消費動向、生鮮食品の流通経路などがあります。いずれも農業に関係する人なら知っておくべき情報だと言えます。

最新動向の例としては、トランスボーダーファーミング、ドローンセンシング、ISOBUSなど、ここ数年耳にするようになった新しい技術や仕組みなどが紹介されています。まだ一般化していないようなものもありますが、今後定着していく可能性もあるので、知っておいて損はないでしょう。

学びを深めるために

これまでこの本から得られることなどを紹介してきました。
もう一歩、本書からの学びを深めるためにやるべきことをお伝えします。

それは、

  1. 気になるトピックを見つける
  2. そのトピックについてWebなどで調べてみる

ということです。

例えば、本書で出てきた新しい技術や仕組みの中で、聞いたことのないものが出てきた場合、その単語をWebで検索してみること。その単語についてより詳しく書かれた記事を探して読んでみましょう。

私の場合、「ISOBUS」という単語を初めて知りました。

Web検索してみると関連する記事が多数ヒットし、ISOBUSがメーカーを問わずにトラクターと作業機との間で行われる、データ通信の相互接続性を担保する国際標準規格であること、普及すれば、複数のトラクターや作業機で行う農作業(施肥、防除など)のデータが一元管理できるようになることなど、この分野の理解が深まりました。

また、本書の主張や考え方について、別の視点から見てみることも理解を深める上で重要です。

例えば「耕作放棄地」について。

私は「耕作放棄地は悪いもので、できるだけ減らしていくべき」という認識でした。しかし本書では「耕作放棄地は問題視する必要はない」と主張されていました。

個人的に興味のあるトピックでしたので、Webで「耕作放棄地」を検索してみました。
すると、耕作放棄地が色々な問題を引き起こすという主張、耕作放棄地を無くすために導入できる作物の話、農業以外の耕作放棄地を活かしたビジネスについての記事など、様々な観点から取り上げられていました。

関係する記事を読んでいくと、多様な意見があることが分かり、興味の幅が広がって知識も増えていくと思います。

〈参考〉耕作放棄地に関する記事
  1. 耕作放棄地が引き起こす問題と解決策を紹介したもの
  1. 耕作放棄地を活用した農業やその他のビジネス
  1. 世界の耕作放棄地

このように、本書で取り上げられたトピックからどんどん深掘りしていくことでさらに学びを深めていけると思います。

大事なのは自分の関心があるトピック、気になったトピックを深掘りしていくこと。

すべてのトピックを調べていくと大変ですし、途中で挫折する可能性も高くなります。

「学びは楽しく」が重要です。自分が「おもしろそう」と思えるトピックを見つけましょう。

まとめ

この記事では、『農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』を取り上げ、本の内容、得られる知識、学びを深めるためのポイントについて説明してきました。

農業の業界動向を知るにはとても役立つ本だと思います。
興味のある方はぜひ読んでみてください。

ありがとうございました。

書誌情報

タイトル:農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書
著者:窪田新之助、山口亮子
出版社:技術評論社
発行日:2020年7月3日

この記事を書いた人
秋富 敬

農協の全国組織で十年ほど勤めた後、北海道の農業生産法人に転職。
日々、農業やそこで働く人々の人材育成等について考えています。
国家資格キャリアコンサルタント。
社会人のスキルアップのための勉強や、教養を得るための講座受講など、様々な形で学ぶことが好きです。
読書も好きで小説や民俗学、歴史の本をよく読みます。
農業や人材育成、読書のことなど、誰かの役に立つ情報を発信していきます。

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